株式会社メタフェイズ

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プロジェクトを成功に導くために必要な課題管理とは〜その2〜

前回の記事では、そもそも「課題」とは何か、なぜ「課題管理」をするのか。プロジェクトを成功に導くために必要な課題管理とは何かを紹介させていただきました。
今回はプロジェクトマネジメントに関する知識を体系的にまとめたPMBOK(ピンボック)における課題管理の意義やポイント、それを参考にした課題管理表の作成方法を紹介します。

1. PMBOKにおける課題管理表

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)はプロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたものです(PMBOKとは:Wikipedia)。まずは、世界標準として浸透しているPMBOKを参考に、課題管理表の意義やポイントを紹介します。

●意義
・プロジェクトの実行・監視フェーズにおける課題を管理するための一覧表。
・検討事項やバグへの対処など、何らかの判断が必要となるタスクを一元管理し、作業の漏れをなくすことが出来る。

●ポイント
・プロジェクトメンバーから上がったすべての課題を記載すること。「対応しない」という判断を下したことも、重要な情報として残す。
・課題には、要求者や要求内容に加え、優先度や工数の大きさを載せることで、どこまで対応するか検討する際の資料として利用できる。
・課題を「変更要求」「バグ修正」「質問」などの区分けをつけることで、何のための作業なのか、追加作業なのかどうかがわかりやすくなる。

(参照)林千晶・ 高橋宏祐『Webプロジェクトマネジメント標準』(技術評論社、2008年)

PMBOKの内容を参考に、課題管理表の作成方法を紹介します。

2. 課題管理表の作成方法

課題管理表の作成方法を紹介します。
課題管理表を作成するそもそもの目的は課題を可視化して、管理することにより、プロジェクト関係者で認識合わせや合意形成をし易くすることです。また、プロジェクトは様々発生する課題の抽出とその解決によってゴールに向かっていくことを意識して作成します。

●課題管理表に効果的な管理項目
・課題番号
・ステータス(状態):Open、Close、ペンディングなどの課題の対応状況
・優先度:高/中/低など表の中での優先順位付け
・起票日
・対応期限
・起票者
・担当者
・カテゴリ:タスクやバグ、要望、質問など課題を区分け
・課題の内容:課題の詳細を記入
・結果 / 一次回答:課題に対する結論やどのように対応する、対応したのかを記載
・備考:関連する課題の番号や資料などを記載

(例)

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例はGoogleのスプレッドシートですが、backlogTrelloといったプロジェクト管理ツールを使用してタスク管理やスケジュール管理も含めて課題管理するのも有効です。オンラインで管理できればリアルタイムで進捗を把握できて、関係者との情報共有を円滑にします。

3.課題管理のポイント

課題管理表はただ作成すればよいというものではありません。実際に課題を管理する上で押さえておきたい3つのポイントがありますので紹介します。

【1】5W1Hを意識する
「5W1H」のフレームワークを活用することで課題を整理します。
・Who(だれが):起票したのは誰か。誰が担当するのか。
・When(いつ):起票したのはいつか。期限はいつか。
・Where(どこで):必要な場合に起票(あまり出番はないです)。
・What(なにを):詳細は何か。経緯や結果はどうなったか。
・Why(なぜ):なぜ起票したのか(課題が発生した背景)。
・How(どのように):どのようなアプローチで課題を解決するのか。

プロジェクトが進むにつれて課題が発生しますが、「期限が決まっていない」、「担当者が曖昧になっている」、「経緯や結果が不透明」といった状況にならないように5W1Hを意識して課題を管理することが大切です。

【2】適宜管理表を更新し続ける
課題管理に必要な項目は上述の通りですが、課題の発生時や対応時、完了時と段階的に更新していくことをお勧めします。

■課題の発生時の記入項目
・課題番号
・ステータス(状態)状況
・優先度起票日
・対応期限
・起票者
・担当者
・課題の内容
・備考

課題管理において、管理すべき課題が可視化されていないのはプロジェクト管理において致命的です。まず課題が発生したら抜け漏れがないようにすぐに課題管理表に記入します。

■課題対応時/完了時の記入項目
・結果 / 一次回答

課題の対応時には解決するまでに対応しなければならないことがいくつか発生します。
対応した内容や状況の変化は「結果 / 一次回答」に記載します。
時系列で発生したコミュニケーションや課題解決のための手段などを記載することが情報共有や経緯を振り返る意味でも大切です。
また、課題の完了時には課題に対してどのような結果に至ったのかを記載します。

・課題が発生した背景や課題をいつまでに解決する必要があるのか
・課題に対してどのようなアプローチを行うのか

を踏まえながら作成・管理することがポイントです。
課題解決までに至る状況の変化を各項目に記載することで、プロジェクト関係者と課題を可視化できたり情報共有をスムーズに行うことが出来ます。
課題は課題管理表で更新し続けることで常に最新の状態を保つことが大切です。

【3】定期的に関係者と共有する
課題に進展があるもしくは停滞するなど、状況が変わる毎にその内容を課題管理表に記載だけしていてもあまり意味を成しません。関係者の誰しもが常に課題管理表を見ることは現実的ではないため、定期的に共有する場(MTG)を設けることが大切です。出来る限り関係者である全員が定期的に課題の進捗を確認できる状態を保つことで、プロジェクトに対する意識や課題解決までのスピードを高めます。

また、優先度が高く早急に解決したい課題や、予算や期限などが限られているが故に”対応しない”、”先送りにしたい”といった課題も定期的な場が設けられていれば、相談しやすいです。

以上のように、「課題」の意味を理解し、「課題管理」や「課題管理表」の意義やポイントを押さえた上で、課題を適切に可視化・管理してみてはいかがでしょうか。プロジェクトを成功に導くための一助となりますので、参考にしていただけると幸いです。

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